気付くと家の近くの病院にいた。どうやってここに運ばれたのか、覚えていない。自分で来たのかもしれなかった。親にはでたらめを云っておいたが、その話が何よりも現実的に思えてきて、悲しくなった。もう、何を話したのか覚えていない。
一か月入院したのち、私は転校して県外の学校へ通うことになった。退院には時間がかかった。傷は癒えたのだが、義手をつけてのリハビリが難儀だったのだ。自分の元の手に似ていればいるほど、その違和感が強調されて、気分が悪くなった。結局、一番重い義手を選んだ。
退院するとき、担当の医者が一片の骨を渡してきた。君のものだ、と云ってきた。わたしは、自分の右手の一部だと知った。それからは、離さず持ち歩くようにしている。
 
数年が過ぎて、わたしは、君に再会した。




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