正義の味方になりましょう

         下柳五郎

僕は泥棒をしている。物を盗んでいる。窃盗をしている。コンビニのうまい棒、バスケシューズ、サッカー部の部長のアクセサリーを盗んだ。女子の靴を、ジャージを、靴下を盗んだ。隣の家のキャットフードを盗んだ。ゲーム屋のゲームソフトを盗んだ。コントローラーを盗んだ。本屋の漫画を盗んだ。USBも、リモコンも、CDも盗んだ。ポケットに入るものは盗む。ポケットに入らないものだって盗む。盗むことはとても楽しい。

 盗んだものは使ったり売ったり捨てたりしている。使えるものは使う。使い道がないものは捨てる。食べられるものは食べる。キャットフードは味がしなかった。うまい棒にはもう飽きた。あれはたまに食べるからうまいのであって、毎日食べるものじゃない。アクセサリーは捨てた。ゲームソフトとUSBとCDは売った。

バスケシューズや女子の靴やジャージはネットで高く売れた。この世の中には、変態がいるんだと僕は実感した。前々からわかってはいたが、変態の存在を実感したのはこれが初めてだった。でも彼らは悪じゃない。限りなく悪に近いが悪じゃない。害があるけど罪はない。まあ変態の話はどうでもいい。

盗難事件が多発しているが、僕が疑われる心配はない。僕が病弱だからだ。年中保健室にいる保健室登校者。僕は激しい運動をできない。生まれた時からそうだ。そのことで親を恨んだこともあったけど、今は何とも思っていない。体育の授業はもう何年も出ていない。

病弱な人間に人は優しい。欠点がある人間に人は優しい。弱点がある人間に人は優しい。優しすぎて涙が出る。優しくはしてくれるけれど、クラスメイトは僕に興味を持っている訳じゃない。できるだけ迷惑をかけないでもらいたいと思っている。面倒を起こさないでくれ、そう思っている。そのはずだ。そうでなければ困る。

だから僕はお望み通り彼らに迷惑をかけなかった。じっと黙ってうつむいて下を向いていた。面倒をおこさない。迷惑をかけない。その事だけを意識していた。盗みを始めるまではその事だけを意識して生きてきた。

おかげさまで誰とも親しくならなかった。友達がいらなかったわけじゃない。ほしくなかったわけじゃない。でも友達をつくることは迷惑をかけることにつながる可能性があった。だから僕は友達を作らなかった。誰も好きにならず、誰も嫌いにならなかった。

僕は透明人間だと小さな声で呟く。誰も聞いていないけれど、とりあえずそう呟く。馬鹿馬鹿しい言葉だと自分でも思う。でもそれでも呟く。阿呆らしい三流ドラマの主人公のように。

 五月二十七日の午後一時十五分。三時間目の授業中。三時間目は体育の時間。授業の見学を最後にしたのは何時だったろう。話しかける友達がいなくなったのは何時だったろう。

 保険の先生はいない。保健室には僕だけだ。教師が話す声も、チョークが黒板にこすれる音も、内緒話も、廊下を走る音も、何も聞こえない。僕の呼吸の音だけが聞える。もしかしたら世界には僕一人しかいないのではないか、誰もどこにもいないんじゃないかという馬鹿げた妄想をする。

 その妄想を打ち砕くかのように、携帯が鳴った。メール着信音。携帯を開く。知らないアドレス。文面は一文のみ。動画が添付されている。

今日の五時 理科準備室で待つ。 

 文章はたったそれだけだった。添付されていた動画を再生。その動画には学生服を着た少年の後ろ姿、見覚えがある後ろ姿、の後ろ姿が隠し撮りされていた。コンビニ、コンビニの棚の隙間からとられているようだ。何時撮られたかは分からない。僕には全くとられた覚えがない。

僕は左右を見回して、うまい棒をつかみ、ポケットに入れた。

動画が一分足らずで終了する。まずい。これはまずい。僕は思考をしなければならない。僕は決断をしなければならない。これは僕の窃盗の証拠だ。これは僕の盗みの証拠だ。このメールを送ってきた奴は、多分、僕に脅迫をしている。盗みの証拠を突きつけて脅迫をしている。おそらく脅迫者はぼくと同じ学校で、生徒だ。

考えろ。思考しろ。五時までに僕はどう行動するか、決断しなければならない。行かないという選択肢はあり得ない。このメールを送ってきたという事は、相手は僕のことを知っている。そしてこの動画も相手の手の中だ。僕は何も相手のことを知らない。相手にアドバンテージがありすぎる。

相手には要求がある。それは現段階では分からない。

僕が考えることはどう行動するかそれだけだ。

呼吸がはやくなっている。汗ばんでいる手に気づく。その手を洗いにトイレに行く。まずやるべきことは落ち着くことだ。

四時五十五分に僕は化学準備室に着いた。来るのは初めてだ。埃っぽい臭い、様々な色をした薬品、フラスコ、ビーカーが見える。

脅迫者を待つ。

待ちながら脅迫の内容を考える。金だろうか? それが一番妥当だ。僕をぱしりにするとか、そういうことはしないだろう。メアドまで調べたぐらいだから、僕が病弱なのは知っているはずだ。僕はそういう事には使い物にならない。というかなれない。金、一万から五万辺りは払える。十万も頑張れば、盗品を売った金で何とか。二十万まで言ったらさすがに親に言おう。

僕が盗みをしていたことがばれた場合どうなるのだろう。さんざん考えた疑問をもう一度考える。停学は避けられないだろう。もしかしたら退学になるかもしれない。盗んだものは大した額じゃない。うちの親は裕福だし、弁償はできるはずだ。

問題は捨てたものだ。もしあのアクセサリーが誰かの形見だったら取り返しがつかない。そこまで妄想を膨らましたが、現実問題、僕はどうなっても良かった。この学校に大した未練があるわけじゃない。仲のいい友達は一人もいないし、授業だって退屈だ。楽しいのは物を盗むこと、それだけだ。それだって暇つぶしから始めたのだ。

退学になったところで、そうデメリットがあるわけでない。人生だって別に終わりはしない。今まで通り続くだろう。親だって病弱な僕に期待はしていないはずだ。優秀な兄や姉のキャリアに傷はつくだろうが、あの人たちはこんなことで困らない。少しばかり笑えてくる。何だ、あんな脅迫にあんなにパニくるんじゃなかった。

僕はこの脅迫にわくわくしている自分に気づいた。これは盗みより面白い。

五時十五分。脅迫者はまだ来ない。ここは理科準備室で間違いないはずだ。ただの遊びだったのだろうか。アドレスを調べてまでして来ない。そんなことはありえないように思えるけれど。

ドアが開いた。

女子が立っていた。背の低い僕よりもっと小さい身長。どこか小動物みたいな印象を与える子だ。夏服の制服を着たさわやかな印象の女の子。彼女は教室を見回してから、僕を見た。小動物のように大きな目。彼女が脅迫者なのか? だとしたらだいぶ予想とちがう。メールの文面から想像していた脅迫者とは似ても似つかない。

「えーっと。ここ化学準備室ですよね?」

 彼女はそう言った。やっぱり彼女は脅迫者じゃないのか。

「はい、そうです」と僕は答える。

「よかった」と言いながら彼女はドアを閉め、鍵をかけた。うん。鍵? 僕は理解する。目の前のこの小動物みたいな女の子が脅迫者なのだと。ああ、面白い。面白いじゃないか。彼女は頭の中で今の流れをリハーサルしてきたのだろうか。それを想像した後、僕はこの展開を歓迎する。

「初めまして、河北鳴尾さん。こうやって会うのは初めてですね」と言い彼女は微笑む。僕の名前を知っている。もう間違いない。彼女が脅迫者だ。

「初めまして」と僕は言う。少し微笑みながら。

「遅れてすみませんでした。ちょっと用事が出来ちゃって。ああちゃんと自己紹介しといたほうがいいですよね。長い付き合いになるんだから」

長い付き合いになる? 何を言っているんだ。脅迫者がそんなことを言うなんて。僕を長い間ゆする気なのだろうか。だとしたらこちらにも考えがある。

「すいません。私の名前は山中島菜々子。陣上高校の二年三組で風紀委員やってます。えっとですね。趣味は映画観賞で、好きなものはショートケーキととんかつ。血液型はB型で、星座はてんびん座です。よろしくお願いします」

そう言って山中島奈々子はぺこりと頭を下げる。僕は予想だにしなかった情報に困惑しながらもとりあえず「よろしく」と頭を下げる。

彼女は僕と同じ学年だった。今は確かめられないが、おそらく事実だろう。意外ではあるが予想外じゃない。メールが来た時点で、その可能性はあった。僕は、授業以外は大抵保健室に居るので、違うクラスの女子の顔なんて知らない。そしてあっちが保健室通いの僕の顔を知っていてもおかしくない。弱者は基本的に注目されるものだ。

「僕も自己紹介した方がいいですか?」

「あ、大丈夫です。河北さんの趣味と血液型と星座と好きなものと好きな女優は私知ってますから」

 こう言いながら、ニコニコと彼女は笑った。その顔を見て僕の背筋が凍った。ひょっとして僕は思い違いをしていたのではないだろうか、僕が今の今まで脅迫者だと思っていたのはストーカーなのかもしれない。だとしたらこの状況はかなりまずい。

「さてとじゃあさっそく本題に入りましょう」と彼女は言う。笑って言う。よく笑う子だ。僕はただその笑顔を見ている。別に何もおかしくない。普通の可愛らしい笑顔だ。その可愛らしい笑顔をした人に今、僕は脅迫されようとしている。

「河北さん、風紀委員になってくれませんか?」

 僕は言葉の意味を瞬時に理解できない。数秒経って意味を理解しても、やっぱりよくわからない。頭の中が何故? と何で? で一杯になる。どうして僕が風紀委員になるんだ。よく理解できない。

「河北さん」と言って彼女が僕の手を掴む。ひんやりとした手。僕はその手に少しびっくりする。

「私と一緒に正義の味方になりましょう」

 夢見るような目で彼女はそう言った。

 この人は、彼女は、山中島菜々子は脅迫者なんかじゃない。ストーカーでも変態でもない。彼女は狂人だった。正義の味方だったのだ。

「ど、どうして」と僕はおそるおそる問う。でも答えは分かっている。彼女が言っている正義は歪んでいる。彼女が倒そうとしている悪が僕には分かる。あの眼を見たから僕には分かる。彼女は僕の同類だ。

「あなたは私と同じです。河北さん。あなたは私と同じなんです。人の幸せが妬ましく妬ましくたまらないんです。人が幸せそうにしているの嫌いでしょうがないんです。その気持ちわかるでしょう、河北さん。分かるからあなたは泥棒をしてたんでしょう? 私には分かります。あなたが何で泥棒をしていたか」

 そう言って彼女は手を放した。僕はぺたんと床に尻をつけた。ありとあらゆる衝撃が僕を襲ってくる。それに僕はどうすることもできない。

 彼女の目は普通だ。彼女の喋り方は普通だ。まったくもって普通。狂っているようには見えやしない。おかしく見えるとしたら僕の方だろう。腰を抜かして座り込んでいるこのぼく。でも事実はその反対。おかしいのは彼女で、まともなのが僕だ。

「ぼ、僕は楽しいから泥棒をしていたんだ」と僕はなけなしの抵抗をする。自分が泥棒だっていうことを認めてしまったが、今はそんなことはどうでもいい。なんとかして抵抗しないと僕は彼女に呑まれてしまう。その事を体全体が感じていた。どうにかこうにかしなければと。

「そうですか。ではなぜあなたは泥棒に楽しさを感じたのですか?」と彼女は僕に聞いてくる。それに僕は答えることができない。答えは分かっているけれど、答えることはできない。じっと黙ってうつむいて下を向くこともできずに、僕は小動物のような彼女の目を見た。

「あなたは物を盗むことによって巻き起こる不幸に楽しんでいたのでしょう? バスケットシューズがなくなって部活が出来なくなる人の顔、大切なアクセサリーをなくした人の顔、靴をなくして途方に暮れる女の子の顔、それを見てあなたは楽しんでいたんでしょう? 彼らの幸せが一時でも壊れるのに快楽を覚えていた。そうですよね。河北さん」

 そう言って彼女は微笑む。彼女が言っていることを僕は否定できない。僕が人の幸せが壊れるのを楽しむ屑野郎だという事を否定できない。何も否定することができない。

「あなたは盗んだものに大して興味がなかった。だからこれも捨てたんですよね?」そう言って彼女は制服のポケットからアクセサリーを出した。僕が盗んで捨てたアクセサリーを出した。サッカー部の部長のアクセサリーを出した。僕が盗んで彼が泣いたアクセサリーを彼女はポケットから取り出した。

「あなたがしたかったこと、ほんとうにしたかったことは盗むという行為そのもの、行為そのものが目的だった。人の幸せを潰すのは楽しかったですか?」

 僕はその質問にウウといううめき声で返事をする。意味はイエス。

「何日前から僕を調べていたんだ」

 僕はポツリと呟く。溜息をもらすように呟く。アクセサリーを捨てたのは何日も前のことだ。そのアクセサリーを持っているということは彼女は何日も前から僕のことを調べていたはずだ。

「それは言えないですけど」そう言ってから彼女は僕の目線に気づく。「ああ勘違いしないでください。これはあなたが盗んだものじゃないです。あれが売っていた店に売っている微妙に違う製品です」

 僕にはもう何もわからない。アクセサリーの違いなんか気づけない。彼女は僕がアクセサリーを盗んだという事に気づいていたのは確かだ。でなければこんなものをもってこられるはずがない。

 僕は馬鹿だ。自分が調べられていることに気づかないなんて。畜生。最悪だ。全く楽しむことなんかできなかった。脅迫なんてものじゃなかった。これは、これは何なんだ一体。

「さてと、本題に戻りましょう」と言って彼女は座る。僕と目線が合う。綺麗な目をした爽やかな少女。でも腹の中はどうだろう?

「風紀委員会に入ってください。まあ風紀委員会には無理には入らなくてもいいんですけど。私の仲間になってください。正義の味方になってください。よろしくお願いします」

 と彼女は言う。平気な顔をして彼女は言う。小動物に似た彼女は涙ぐんだ顔でそう言う。大した道化だ。立場は全く逆だ。彼女が支配者で、僕は被支配者。僕のよろしくお願いしますの台詞を彼女が言っている。彼女は間違いなくこのやり取りを楽しんでいる。

「君の言う正義って人の幸せを壊すこと?」

「はい、そのとおりです。正義は他人の幸せを壊すこと。悪は幸せを感じることです」

 思った通りの価値観。思いっきり間違った価値観。でもそれを否定する力は今の僕にはない。僕にはその権利がない。ぼくだって似たようなものなのだから。

「僕にさ、拒否権なんかないだろう?」

「いえいえあります。なりたくないなら別にいいです。脅迫するだけですから」

 正義の味方になってくださいと脅迫するのか。何もかもが馬鹿げている。

「今月、最低でも十三回盗みを行ってますよね。その証拠が全て私の手の中にあります」

 ここまで来たら予想通りだった。でも一応僕は念のため尋ねる。彼女の強靭さがどのぐらいなのかを知りたくて尋ねる。

「それでも僕がならないと言ったらどうするの?」

 彼女は少し口をゆがめた。それこそが彼女の本当の笑い方なのだろうか。いやおそらく違うだろう。彼女はたくさんの種類の違う笑いを持っているだけだ。

 彼女は夏服を引っ張りながらこう言った。

「この服をひっぱって破いて電話をするだけです」

 そしたら僕は婦女暴行未遂の現行犯か。全く徹底的にも程がある。証拠はないけど彼女が騒いだら事件にはなるだろう。それと盗難のことも彼女は言うはずだ。捕まるかどうかは分からない。でも僕の人生に結構重いダメージが来る。立ち直れないかもしれないダメージが。盗難と暴行と言う犯罪が僕を社会の敵にする。

「いいよ。わかった。君の仲間になる。正義の味方になるよ」

 ええ、いやあ、本当ですか。よかった。よかった。と言いながら彼女は僕の手を取って立ち上がる。そしてぴょんぴょんと兎のように跳ねる。本当に喜んでいる。少ししてから彼女がドアを開ける。

 彼女が鍵を回している時に、僕は思う。彼女の後姿を見ながら、僕は思う。

 今、この時なら彼女を殺せる。

 そう思う。この面倒くさい女を今ここで殺してしまえば、僕はあらゆる面倒事から解放される。この女が持ち込んでくるはずの厄介ごとに関わらなくてすむ。彼女と僕に接点はない。怪しくは思われるかもしれないが、証拠はない。僕が逮捕はされないだろう。僕は病弱だけれど、人ひとりぐらいは頑張れば殺せるはずだ。ましてや女の子なら。

 でも僕は殺さない。

 今まで散々面倒くさい事や厄介ごとや迷惑になるようなことをせずに生きてきたのだ。そういう事にはもう飽きた。うんざりした。そう思ったじゃないか。

 彼女は僕に面倒くさい事や厄介ごとを山ほど持ってきてくれるだろう。それらはきっとわくわくするようなことだ。馬鹿な僕はそう思うから彼女を殺さない。

 きっと彼女はこのぼくの思考すらわかっていたような気がする。

 扉が開いた。

 すっかり日が暮れていた。橙色の日の光がまぶしい。サッカー部の練習の掛け声、野球部のノックの音、女バスケットボール部のランニングの掛け声、吹奏楽部の練習曲。それらが一斉に聞えた。騒々しく音はずれなオーケストラ。

「正義の味方になった記念に一緒に帰ってあげます」

 彼女はそう言った。へへっと笑ってそう言った。当然ながら僕に拒否権はない。

 もう、泥棒はしないでください。私はあなたに人間的には興味がありますが、男性としての興味は全くありません。ご了承してください。好きな魚なんですか? 私カピバラに会いたいです。彼女とこれらの話をした。

 僕はただ相槌を打つだけだった。疲れ切っていたし、どう反応すればいいか分からなかったからだ。初対面の女子と一緒に帰るというのは夢のようなことだとは思うけれど、僕は大してうれしくない。何が原因なのかは考えたくない。

 分岐点に着いた。

「じゃあ私はこれで」

「ああ、うん」

「明日からがんばりましょうね。悪党退治」

「ああ、うん」

 僕は明日からの面倒事を思う。目の前が暗くなる。

ふと僕は気になったことを彼女に聞いてみる。

「君の幸せって何?」

「え、ああ、二つあります。一つは他人の幸せを壊すこと、もう一つはですねぇ。秘密です。それじゃ、また明日」

 彼女が笑いながら手を振って去っていく。

 秘密ねぇ。僕には全く分からない。僕も彼女に向かって手を振る。

 見えなくなっても手を振る。疲れてきてから手をおろし、ぼんやりと手を下す。それからゆっくりと帰り道を歩き出した。明日のことを思いながら、僕は歩いた。