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7.再起の薬
「…………」
「おい、そろそろ出ていってくれないか? 本気で邪魔なんだが」
「…………」
「出ていけと言っているだろう? というか、出ていかないとお前もやばいぞ?」
「…………無理です」
 もう今の俺は、「へんじがない、ただのしかばねのようだ」状態だ。……返事、しちゃったけど。とにかく、今の俺に、動く気力は全く残っていない。
「ハァ……まったく、お前は昔から変わらんな。努力は惜しまないのに、いつも最後の最後にミスをして……。そんなことだから、お前は親に捨てられるんだ」
「…………そんな事実はありませンッ!?」
 突然、首筋に鋭い痛みが走る。この感覚には、嫌というほど覚えがあった。注射だ。
「これだけは使いたくなかったんだが……こうでもしないとお前は出ていきそうになかったんでな」
「こ、これは……?」
「お前に最初に打ったものの強化版だ。かなり強いものだから、これなら、今のお前にも効くだろう。かなり不安定で、どの程度効果が持続するかはわからんがな」
「ほ、本当ですか!?」
 ということは、俺の計画には、まだ……希望が――!!
「あ、ありがとうございますっ!!」
「あくまで実験の一環だ。また今度、データを取らせてもらうからな。まぁ、とりあえず、牛乳でも飲んで落ち着いたらどうだ?」
 牛乳、という単語を聞いた途端、思わず腹を押さえてしまった。どうやら、いつぞやの超濃縮牛乳が、自分の中で酷くトラウマになっているらしい。
「……濃縮?」
「市販のものだ。安心しろ」
 フゥ、助かった。あんな思いは二度とごめんだからな……。
「それじゃあ、遠慮なく……いただきます!」
 再びチャンスをくれた先生に感謝し、今度こそ、まともなHSLを送れることを夢見て、俺は腰に手を当て、牛乳を一気に飲みほした。
 
 
「ちなみに、今回は辛みと酸味が極限まで高まってしまうようだがな」
「トーームヤーーーンクーーーーン!!!」
 
 
「あの注射の強化版だと言っただろう。まったく、やっぱりお前は、最後の最後で詰めが甘いな。もっとも、これはばかりは天性のものか」
 そう言って先生は、呆れたようにため息をついて、そして少しだけ、笑顔を見せた。
 
 
「想 百々和[オモイ トドカズ]……“思い届かず”。正しくお前の名前通りじゃないか。名は体を表すとは、よく言ったものだな」
 
 
 ……まったくもってその通りだ。
 もしかしたら、これこそ、俺が解決すべき課題なのかもしれない……。
 
 姓名判断……行ってみようかな……。






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