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おかしな城の少女たち  バックベアード



4、女王様とチシャ

 

「確か、二十一番目って言ったっけ」

 シャーロットがヒールの音を鳴らしながら、矢鱈滅多に多い扉の数を、数えていく。途中、マーブル模様の壁面にマカロンを散らした場所があり、シャーロットは何度も見直して扉が無いことを確認したものの、少し不安になっていた。

「――ちょっと、なによこの不可思議な造りは」

 それよりも遥かに難しい問題が、シャーロットの前に立ちはだかった。廊下が数多く、分かれている。左右だけではなく、上下。さらには斜めにまで、プレッツェルのような細い道が伸びている。

「どうすればいいのかしら、これ……」

 シャーロットが悩んでいると、背後から聞きなれた足音が聞こえた。振り向くと、メアリが手当たり次第に扉を開いて中を確認している。

「メアリ! やっと会えた」

 メアリもシャーロットに気付き、駆け寄ってきた。互いの顔に、再会できたことによる安堵と喜びが広がっていく。

だが、いつものパターンで飛びついてくることを知っているシャーロットは、ギリギリの所で身をかわした。抱き着く対象のいなくなったメアリは、廊下でヘッドスライディングする。この対応は少し冷たかったかもと心配したシャーロットだったが、メアリがケロッとして立ち上がったのを見て、胸を撫で下ろす。

「シャーロット、大丈夫だった?」

 それでいて尚、シャーロットの身を案じるメアリの優しさに、シャーロットの良心が悲鳴を上げた。先ほどのお茶会から持ってきたキャンディをメアリに差出し、

「メアリ……ごめん、キャンディ食べる?」

 謝られる理由に心当たりが無いメアリは少し不思議に思ったが、キャンディがもらえるようなので、細かいことを気にするのは止めた。

「私は平気よ。図書室で本に襲われたこと以外はね」

「図書室に行ったの? 私は厨房だったよ!」

 それを聞いたシャーロットの顔色が、一瞬にして変わった。

「じゃああの後、メアリもチシャに陥れられたのね……。チシャの奴……」

「でも、アンに会えたよ!」

 二人の顔色は、対照的だ。シャーロットは苛々した表情を浮かべていたが、メアリがアンとの話を楽しそうに話すのを聞いているうちに怒りが和らぎ、顰め面具合はいつも通りに戻った。

「ま、とりあえず女王様に会いに行きましょ」

 その言葉を聞くと同時に共に、メアリが元気よく手を挙げた。

「アンがね、女王様はこの階に居るって言ってた!」

「メアリ、それ本当?」

「うん! だから全部の扉開けてるんだけど……いないね、女王様」

 珍しくメアリの顔がしゅんとなり、珍しくシャーロットの顔が楽しそうなものになる。

「モックは、二十一番目のドアだって言ってたわね」

「シャーロット、それホント?」

「だからここで悩んでたの。この階だって言うなら……」

 シャーロットがずんずんと歩き出すと、メアリも期待に胸を膨らませて、たたっと走り出した。

 

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