ばりばりという音、
金属の擦過音に圧倒されながら、わたしの体重は四方へと拡散していきました、
鈍色におちる赤い水がみえました
迫り来る鉄塊に押し潰された、歪む歪む刹那の恐怖、
耳元で囁くように残っている、美しすぎる音、今も変わらず、
すべてが醜い生き物の中で、静かに響いて消えていきました
 
 
 
 
 
            「鉄塊の下に生き物」
 
                                    楠谷たすく




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