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それはまるで細い細い糸のようで
幸村 望
 
 私はつねに平均であろうと努めてまいりました。
 私、扇睦美の座右の銘は『己は平均たれ』、口癖は「わかりません」を貫いております。座右の銘は自身を戒める鎖として、口癖は多くの場合それが最も無難な解答法であることからきております。
 私は、平均でいたいのです。多くの中の真ん中、中央に位置し特に特出すべきものも劣るものもない。圧倒的な力を有しない代わりに劣等的な環境に属すことの無い安定値。そうなるために、日々精進しています。
 多くの方は、何だそんなこととお思いになるでしょう。そんなもの、普通にしていればできるだろうとお考えになることとお察します。しかし、私にはどうしても皆様のいう「普通」を実践することができないのです。私がいくら普通にしようとも、いくら自分の思うほかの人と変わらない行動をしようと、私に向けられるのは奇異の目だけでございました。幼少の頃の私は、まだ「己は平均たれ」たる考えを尊ぶには幼すぎ、また愚かでありました。
 変わっているのは周り、自分こそが正しいのだと誤った認識の下で己が傲慢を振りかざし、結果私は孤独と陰湿さに挟まれました。そこでやっと己の異質さに気づいたのです。
 それが、小学三年生の頃でした。それから私は、自身に平均という名の制約の鎖をかけ、友和と平穏の日々を得ることに成功したのでございます。
 そんな私だからこそ、高校二年にもなればそろそろつくらねばなりません。
 女子高校生が一般的に購読すると言われている雑誌には、私の歳になれば恋人の一人ぐらいはいて当然と明記されていたのですから。

続く→