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2.決断の訳
 まったく……あの人の吐く暴言を聞くのは、冷水を頭からかぶるのに近いものがあるな。だが、おかげで暴走気味のテンションが少し収まったから、そろそろ何がどうなっているのか、簡単に説明しておこう。
 そもそも、俺は昔から、身長が低いのが悩みだった。わかる奴にはわかると思うが、身長が低いというのは、精神的にも肉体的にも、なかなか厄介な問題だ。
 
 常に一番前だった朝礼。
 チビと呼ばれる日常。
 前が見えない授業。
 
 いじめ……は幸いにもなかったが、それでも、この身長に相当苦しめられたのは事実だ。
 しかし、この問題は、自分の力でどうにかできるものでもないから、「これは神が与えた試練……いや、むしろ俺こそが新世界の神に違いない。これは神になる者に与えられた試練なんだ」と、どこかのクレイジーな大量殺人犯のような言葉で無理やり自分を納得させて、俺は辛く苦しいLSLLow-Shincho-Life)を送っていた。
 そんな感じに壊れ始めた俺を見兼ねたのか、あるいは試練に耐えたごほうびなのかは知らないが、高校生になって、神はようやくチャンスをくれた。なんと、身長の伸び率が上がったのだ。いわゆる、成長期というやつである。俺はもう狂喜乱舞。嬉しさのあまり、一月分の小遣いを全て、神社の賽銭箱に投じてしまったほどだ(おかげでその月は、神からまた別の試練を賜ってしまったのだが……)。
 しかし、そううまくはいかないのが、世の中というものらしい。成長期に入ったのは確かなのだが、他の奴や一般的なデータと比べると、どうも伸び率が物足りない。しかも、高一が終わる頃には、その半端な成長期までも終わろうとしていた。
 せっかく神がくれたチャンスを、このまま無駄にするわけにはいかない。というか、これを逃したら、俺は一生LSLから抜け出せなくなる!
 そこで俺は、高二になって初の始業式の日、あの決断をしたのだ。
 
 この一年間で、どんな手段を使ってでも身長を伸ばそう、と。

続く→